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瀬戸内海経済レポート

伝えるべきモノは「商品」か、それとも「想い」なのか

議論を通し記事の視点が変わり始める

瀬戸内海経済レポート いいモノはいい!広報担当 安江 義男

瀬戸内海経済レポートでは、記事の質を高めるため、取材相手が本当に言いたいこと、伝えるべきポイントを分かりやすく表現できているかなど、あるべきアウトプットの指標として「感謝の質向上」表彰を設けた。実現のため、心掛けているのが記者同士の議論だ。

今回紹介するのは、昨年4月入社の古川竜聖記者。岡山県北の津山市でカイロプラクティックサロンなどを経営する女性がクラフトコーラを開発した記事を書いたところ、取材相手から「ビジョン岡山の記事は私の想いを文字にしてくれた」と丁寧なお礼の連絡があった。「文章力に学ぶところがたくさんあり、活用させてほしい」と本人が恐縮するコメントまでいただき、地元百貨店で11月に開催されたイベントに出店した際にはポップとして記事を掲示し、コンセプトを伝えるのに役立ったという。

週刊VISION岡山10月17日号掲載の記事

この記事のポイントは、地元愛の強い女性が、宇田川榕菴(うだがわ・ようあん)や箕作阮甫(みつくり・げんぽ)ら、著名な医学者を輩出した古里の「誇れる歴史を発信したい」という想いから、新たな特産品として地元産のショウガなどを原料にしたクラフトコーラを商品化した点。

ところが最初の記事は、近年ブームとなっているクラフトコーラに着目した商品紹介目線の記事になってしまっていた。商品自体の魅力を伝えることが、事業者が本当に言いたいこと、伝えるべきポイントなのか、から議論を始め、「たとえ取材時に熱意ある商品説明を受けたとしても、そこに真意やニュースの価値があるとは限らない。なぜ異業種の事業者が特産品開発に取り組んだのか、なぜクラフトコーラなのか。そこにこのニュース、ひいては商品の価値があるのではないか」という結論にたどり着いた。

この間、原稿の書き直しは5回以上。電話で再取材もした。心からの「感謝」を受けた古川記者は、「目に見えていること、相手の言ったことが、相手が本当に伝えたいこととは限らないと学んだ」と振り返り、「まだまだ不十分だが、日々の取材時に自分の意識が少しずつ変わっているのを感じる」とも話している。

古川記者と取材相手とのメッセンジャーでのやり取り

議論を通して学んでいるのは、記事を書いた本人だけではない。周りの記者らも議論に加わり、指導することを通して自身も学びを得ている。さらには「いいモノはいい!ダメなモノはダメ!」と言い合える環境づくりにもつながっており、表彰制度を通し記者の資質向上とともに、風通しの良い職場づくりにもつなげていきたい。

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